徳島大学の風工学研究室は,徳島大学工学部の土木構造系研究室として,宇都宮英彦教授が運営された建設四講座から始まり,長尾文明教授が運営されてきた歴史ある研究室であり,令和5年4月からは,野田 稔教授(風工学)が運営してます.

研究室の名前が表している通り,風が引き起こす様々な工学的問題を取り扱う風工学を専門としている研究室であり,構造物,主に橋梁の耐風性の検証と安定化対策,強風特性の予測と強風災害の低減,自然風の有効利用などに関する研究に,日夜取り組んでおります。

物理的な場所で言うと,徳島大学理工学部社会基盤棟5階西フロアのA515室,同A116室・A117室,大型風洞実験棟が現在の主な活動場所です.

風に起因するあらゆる工学的な問題を取り扱う複合的な学問です。

強風の原因となる台風や温帯性低気圧,竜巻などを理解するための気象学,空気の流れである風の挙動を理解するための流体力学,流体力が構造物にもたらす作用を理解するための構造工学や振動学,航空工学,機械工学,それらの構造物を設計施工する土木工学や建築学などの多岐にわたる学問を駆使して,構造物の耐風設計や風災害に対する減災対策,風力エネルギーの有効利用といった議論をします.

研究手段は,主に風洞実験数値流体解析を用います。

風洞によって人工的な風を吹かせ,その中で構造物の縮尺モデルの周りの流れを調べます.

構造物の振動模型を使えば,風によって生じる構造物の振動も調べることができます.

室内回流式多機能境界層風洞
【解説】中立状態の大気境界層を模擬する風洞装置です。地上の地物は,全て地面の起伏や粗度によって乱流境界層の中に位置します。そのため,地物周りの流れや地物に作用する空気力は乱流境界層の特性に依存します。実際の地物と同じ状態を再現するためには,乱流境界層を模擬する必要があります。乱流境界層を模擬するためには,境界層が成長できるだけの吹走距離が必要になります。境界層風洞はそのために長い測定胴を有しています。

 

世界で一つだけの独自機構を持った竜巻シミュレータ。現在,高知大学への移設待ち。
マルチファン・マルチベーン型竜巻シミュレータ
【解説】竜巻は直接観測することが難しい現象です。そのため,実験や数値流体解析によって竜巻状流れを再現し,その流れの構造を調べることで研究します。実験的に竜巻状流れを再現する場合,収束流と旋回流を与えることが必要になりますが,この竜巻シミュレータでは,収束層外周に配置した40個のファンと40基のベーンを個別に制御することで,流入風速や流入角に分布を与えることができ,それによって生成される竜巻状流れの特性を制御することができます。また,地表面に相当する面はムービングベルトとなっており,移動状態の竜巻状流れも再現することができます。

粘性流体の運動方程式であるNavier-Stokes方程式を離散的に解く方法です.

離散化の手法によって,差分法,有限要素法,有限体積法などがあります.

風工学研究室では,有限体積法を用いたOpenFOAMというソフトウェアを使っています.

 

数値流体解析によって再現された竜巻状流れ(流線+等圧面)

風工学研究室では,現場に起きている問題を災害調査などを通じて知り,実験や数値解析での再現を通じて現象を本質的に理解し,常識にとらわれない発想で理論を構築することで,現場にフィードバックし,問題の解決を目指します。また,研究のためであれば,必要な実験装置を自作し,従来にない切り口で研究に取り組んでおります。

  • 土木・建築構造物の空力振動の発生メカニズムの解明と制振対策の提案
    • 風洞実験および数値流体解析による非定常空気力の分析
    • 自励型流力振動の発生機構および制振対策の検討
  • 竜巻等の突風被害の発生メカニズムの解明と工学モデルの構築
    • 風洞実験および数値流体解析による竜巻状流れ場の生成と評価
    • 飛散物の飛行解析とリスク評価手法の開発
    • 画像情報に基づく竜巻特性同定法の開発
  • 実験および数値流体解析による流体現象の再現と分析
    • 防風林の減風効果および津波に対する低減遅延効果の検討
    • 土木・建築構造物に対する津波による波圧の検討

社会基盤デザインコースのPR動画として、大型風洞試験設備の紹介動画が公開されました。

社会基盤デザインコースのPR動画の一つとして、タコマナローズ橋の落橋の紹介動画が公開されました。

社会基盤デザインコースのPR動画の一つとして、竜巻風洞の紹介動画が公開されました。

社会基盤デザインコースのPR動画の一つとして、風洞実験模型の紹介動画が公開されました。

2024年度版の風工学研究室の紹介動画です。研究室訪問の前に視聴しておくと話がスムースかと思います。