2020年3月にまとめられた地震による損害保険金支払額のトップ10と,台風などの風水被害による損害保険金支払額のトップ10を掲載します。

発災の時期と損害保険金支払額を見れば明らかですが,東日本震災は別格として,損害保険金の支払額で比べれば,台風などの風水被害(特に強風被害)による損害保険金支払額はまさに桁違いです。その事実が広く伝えられず,地震被害のみが大きく取りざたされるのかは,不思議ですね。

現在の建築基準法に従って建てられた建築物については,そのように設計されているので震度7でも倒壊する危険性はほとんどありません。旧建築基準法で建てられた建築物については,現在の建築基準法を満たせない建物もありますので,耐震改修をするか,建て直すことが必要になります。ただ,時間の経過とともに古い建築物は改修または解体されていくので,時間の経過とともに耐震化率は自動的に上がっていきます。また,土木構造物についても,現行の耐震設計に則って設計されている橋梁なども,基本的に震度7クラスの地震にも耐える性能が与えられており,地震によって大きな被害が発生することが懸念されるのは古い基準で設計された土木構造物ですが,優先順位をつけて着々と耐震補強や落橋防止対策が進められており,極度に心配する必要はありません。

一方で,風水,特に風によって発生する被害についても,現行の建築基準法に則って設計されておれば,建築物単体の風圧力による被害の発生はほとんど起きないことになっています。ただ,強風の中で飛来する飛散物の衝突に対しては,ガラス飛散防止フィルムの使用など,個別対応になっており,飛散物による被害の軽減は難しいのが現状です。また,屋根や外壁などの経年劣化の影響も心配する必要があります。

日常的に接する風水の影響というのは地震に比べると軽く見られる傾向にありますが,損害保険金支払額が示す通り,桁違いの被害をもたらしていることを認識してほしいものです。